投稿者:貝塚 登(小野山東自治会)
月食は年2回ぐらい起こる現象ですが、すべて日本から見られるとは限りません。今回の月食は日本において夕方、東の空で月が出てしばらく経ってから始まるという大変良い条件で、しかも月食中に惑星である天王星が月に隠される(惑星食)という非常に珍しい現象も起きました。
実は太陽や惑星の通り道である「黄道」と月の通り道である「白道」が交差しているため惑星食は時々起こりますがほとんど話題になることはありません、でも今回はそれが月食中というタイミングだったのでマスコミなどの情報から広まり、たくさんの人が見ることになりました。

私は過去約50年、8㎜フィルムの時代からコマ撮り(インターバル撮影)を使って月食や日食の過程を動画で記録してきました。現在はミラーレス一眼カメラでインターバル撮影した沢山の静止画を使ってタイムラプス動画へ変換させています。
一般的に月食は地球の「本影」による欠け始めから終わりまで(今回は約3時間40分間)を言いますが、本来は「半影」食から始まる現象です。今回は半影食が始まる17:00から、それが終る22:57までの約6時間、月を追い続け、撮影をおこないました。
データによれば自宅の屋上から見ると月はちょうど桑名総合医療センターとアピタの間から昇って来ることが判り、機材をセッティングをしました。月食は長時間の現象なので、これまでたびたび食の途中で雲に隠されることがありました。今回はラッキーにも最初の半影食で一時雲の邪魔が入りましたがその後は完ぺきな食の過程を撮影することができました。
■レンズ:BORG71FL(口径71mmフローライトレンズのアポクロマート望遠鏡筒)+テレビューパワーメイト2.5倍を装着してf1000mm F14に拡大
■カメラ:SONYα7Ⅲ(APS-Cサイズにクロップ)30秒/コマインターバル撮影
■追尾架台:iOptronAZ MountPro(経緯台)により自動追尾
・撮影した760枚ほどの静止画を並べて動画に=リアルタイムの900倍速
※ 低空の月は分厚い大気を通して見えるので暗く、昇につれて徐々に明るくなってくる。そのため露出は現場合わせで調節。
※ 経緯台で追尾しているため、アングルは絶えず水平、斜めに昇るにしたがって月は画面上で回転して見える。
※ 月の高度が高くなると大気の影響が減るため鮮明になる。特に後半で薄い半影が去って行く様子が良くわかる。
※ 天王星の潜入は皆既中で分かりやすいが、出現は月が明るくなって見えにくい。

・左側の望遠鏡で月を追尾しながらカメラ撮影(自宅屋上にて)
・右側の望遠鏡に付けたCMOSカメラからPCへデータを送り、月の拡大画像を撮影

・星々の各コマの点像が連続して光の線になって見える




(CMOSカメラで撮影)
・これが本当の満月といえる(普段の満月はどこかがわずかに欠けている)
・カラーで撮影すると月面の地形や地質の違いから色が異なっているのが判る